研究概要 |
ノッキングに負の温度領域が影響を与えている可能性が,定容容器を使った実験であきらかになった.しかし定容容器では,燃料,非定常性,圧力,温度,乱れなどの条件が実機とは異なるので,実機の高速高負荷運転条件を模擬できる急速圧縮装置をあらたに設計製作した.この装置は九州大学で開発されたものをベースにしており,小型であること,圧縮行程の動きを変えられること,大きな振動を伴わない等の特徴を有する.本年度は装置製作と作動試験までを行った.振動対策,カム形状と実験効率の向上に特に配慮した設計を行い,初期要求仕様通りの装置を試作することができた.この装置を使って来年度は,圧力,局所温度,可視化,排気ガス分析について計測を行う.この実験データを解析することにより,実機条件でのノッキング発生原因を明確にすることができると考えている.一方,定容容器実験で得られたデータで,現有の反応を含む0次元数値解析モデルの検証を行った.本研究では独自の局所温度計測を行うことにより,現象の考察や定量的な比較の上で極めて有用な知見を得ることができた.特にノックが起きる場合と起きない場合の条件について,詳しく考察を行うことができた.来年度は急速圧縮装置によって得られるデータをつかって,実験条件でのモデルの検証を行い,さらにノッキング回避に有効と思われる希釈剤による影響を数値解析により明らかにする予定である.
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