研究概要 |
定容容器内の超臨界雰囲気(雰囲気温度,圧力が燃料の臨界圧力,温度を越えた高温,高圧の状態)中に液体燃料を噴射した場合の,噴霧内の混合気形成過程を測定するため,2波長レーザ吸収散乱(LAS:Laser Absorption Scattering)法を採用し,噴霧中の液相の影画像(波長532nm)と液相+蒸気相の影画像(波長266nm)を撮影した.これらの影画像を解析して噴霧特性,混合気特性を求めた. 超臨界雰囲気中への液体燃料の噴射,混合気形成が行われる例としてディーゼル機関をとりあげ,ディーゼル機関用の噴射システムと機関燃焼室内の燃料噴射時期の雰囲気温度,圧力の条件を採用した.またLAS法の試験燃料として,ディーゼル燃料である軽油と密度,動粘度,沸点などの物性値が近いジメチルナフタレンを使用した.液体燃料の微粒化過程さらには混合気形成過程に影響を及ぼすパラメータとして,噴射ノズルの噴孔径,噴射圧力を変化させるとともに,従来型の単段噴射と噴射段数が2段のスプリット噴射を比較した.混合気特性におよぼすこれらパラメータの影響をまとめると以下のようである. 噴孔径を小さくすると,ザウタ平均粒径が小さくなるため燃料の蒸発が促進されることと,雰囲気導入質量が少なくなるため,蒸気相当量比が高くなる.噴射圧力を高くするとザウタ平均粒径が小さくなるため燃料の蒸発が促進されるが,雰囲気導入質量が大きくなるため,結果として蒸気相当量比が,やや低くなる.スプリット噴射を単段噴射と比較すると,ザウタ平均粒径は2段目噴射終了時までは小さく,2段目噴射終了後に大きくなる.雰囲気導入質量はスプリット噴射の方が1段目噴射終了時に大きく,その後2段目噴射時まで小さく,2段目噴射終了後,再び大きくなる.それらの結果として,2段目噴射終了時の蒸気相当量比はスプリット噴射の方が高くなる.
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