研究概要 |
本研究では,ディーゼル排気後処理法として,バリア放電技術と触媒技術を複合化して,排気ガス中のNOxと微粒子(PM)を高効率で無害化する小型後処理技術を開発する.開発するシステムは,バリア放電部とPM分解処理部より構成される.高周波バリア放電装置では,電極構造を誘電体バリア配置として,低電圧,低電力のもとでプラズマ条件をつくる.プラズマ中では,空気が活性化されてオゾン(O_3),Oラジカル,Nラジカルが発生し,排気ガス中の一酸化窒素(NO)が二酸化窒素(NO_2)に転換する.PM分解処理部では,転換して生成したNO_2と酸化触媒により,300℃程度の低温で微粒子や未燃炭化水素(HC)を酸化して除去する.平成15年度は,まず単体後処理装置を試作して誘電体バリア材料の検討と電極の最適化を行った.PM酸化装置においては,プラズマにより生成したNO_2ガスによるPMの低温酸化効果を調べ,酸化触媒の効果も調べた.さらに,実機搭載構造の検討と基本性能評価を行った.主な結果は以下の通りである. プラズマ反応管では,バリア放電電極の構造,バリア材質および厚さが放電消費電力とO_3生成に影響し,NO_2転換特性が変化するがわかった.また,導入ガスに炭化水素が含まれると,低い放電エネルギーで高いNO_2転換効率が得られ,ガス温度,水分によるNO_2転換効率の悪化を抑えることができることが明らかになった.PM酸化炉では,プラズマ反応によって生成したNO_2を含むガスにより,O_2の場合より約100℃低い260℃の低温ですすを燃焼させることができることを示し,鉄系酸化触媒ゲーサイトが酸化促進に効果があることを示した.実機搭載構造の検討では,電源周波数,電極数がNO_2転換に及ぼす影響を明らかにし,PM酸化においては触媒担持に直径6mmのアルミナ球を用いて酸化触媒含浸量の効果および再活性能力を調べ,実用性を確認した.
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