研究概要 |
本研究は,高熱負荷フィン付回転ドラムの対流伝熱機構を解明することを目的し,伝熱機構が「水平矩形管内流の助走区間における強制対流熱伝達」および「フィン頂部をそれに直交して空気が通過するキャビティ流れの熱伝達」からなり,さらに「遠心力に起因する自然対流」の存在が加わるとの仮説を立て,まだ明らかでないフィン付面局所の伝熱特性,ならびにこれら3つの伝熱機構に対応する個々の伝熱特性を実験的に調べることによって仮説の妥当性を明らかにしようとするものである. 本年度は,外径Do=326mm,幅B=64mmのドラムの外周に,フィン高さ15mm,厚さ4mmのフィンをn=52枚配置したフィン付ドラムを供試体とし,ドラム内面付近を渦電流によって加熱する試験機(ドラム表面温度が約600℃まで上昇可能)を使用した感温塗料によるフィン表面温度分布測定,ならびに,同じ幾何学的形状のドラム内面にヒータを貼り付け,回転数と発熱量が独立して設定可能な回転体伝熱実験装置(ドラム内面温度は最高250℃まで)を用いた強制対流熱伝達測定実験を行った. その結果,(1)フィン角度がθ=0°においては熱伝達が明らかにキャビティ流れ類似の特性を示すこと,(2)フィン角度が増加するにつれ,キャビティ流れによる熱伝達は低下していくが,管内流れ類似の流れによる影響が現れ始め,それによる熱伝達の効果が加わる結果,フィン付面の熱伝達係数はフィン角度の増加とともに増加すること,(3)さらにフィン角度がθ=30°を過ぎると管内流れ類似の流れによる熱伝達の低下していくため,熱伝達は急減すること,したがって本系の強制対流熱伝達はフィン角度がθ=30°付近でもっとも良好となること,が明らかとなった.
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