研究概要 |
本年度得られた研究実績は以下のとおりである.なお,国内の学会において2件口頭発表を行い,次年度も国内2件,国外1件の学会発表を予定している.また,刊行論文への投稿も準備中である. 1.アルコールおよびアルコール水溶液に関して,示差毛管上昇法を用いて高圧状態における表面張力を測定する実験装置を,研究代表者が保有していたフロン系冷媒および混合物の高圧下における表面張力測定装置を改良して製作した. 2.アルコールとして,エタノールと1-ブタノールの2物質を選定し,温度範囲273Kから333Kで,表面張力と密度の測定を行った.さらに,表面張力と密度の温度依存性を表す相関式を作成した.この2種類のアルコールの表面張力の従来の報告例は,測定方法および精度に関しても信頼性の低いものであったので,新たに高精度の熱物性値情報を提供することができたと考えられる. 3.アルコール水溶液に関しては,まず1-ブタノール水溶液を測定の対象物として選定し,現時点までに1.5mass%1-ブタノール水溶液の表面張力および密度の温度依存性を実験的に解明した.次年度は,以下の方向性で研究をさらに進めていく. (1)1.5%mass%1-ブタノール水溶液に加えて,0.5mass%,1.0mass%の2組成に関する1-ブタノール水溶液の測定を行う.そして,表面張力の温度依存性だけでなく,組成依存性についても解明を進める.このため,組成測定装置の改良を行う予定である. (2)1-ブタノール水溶液の測定が完了したのち,エタノール水溶液に関しても同様の測定を進めていく.そして,アルコールの炭素数の違いにより分子構造上からの検討を行う.
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