研究課題
二重拡散自然対流は重力場で温度差ならびに溶質濃度差の二つの原因から密度差が生じ浮力となって流れが発生・持続するもので、工学あるいは環境のいろいろな場でこの現象が存在する。環境関連では河川、湖水、海洋などへの工場廃水の流入、煙突からの煙、大気中への有害ガスの流出、都市の温暖化等でこの現象の存在が考えられる。浮力比は濃度浮力と温度浮力との比で、この値によりいろいろな二重拡散対流となる。一般的に温度浮力は上向きに作用し、濃度浮力は下向きに作用し、ある浮力比のとき特異な現象が発生する。すなわち、(1)流れの分岐現象、(2)逆転層あるいは成層現象、(3)流れの振動あるいは揺らぎ、(4)ソルトフィンガー現象、(5)インターリービング現象、(6)二重拡散プルーム、(7)二重拡散塩水楔、などである。これらの現象を含む主流下での二重拡散現象、二重拡散プルーム現象、ソーラーポンドなどの数値解析した。以下に、研究項目ごとに述べる。1.主流下での二重拡散現象シアー流れ中での温塩水の二重拡散現象数値解析した。浮力比が1より小さい場合、温塩水は始め水面近くを流れるが次第に広がり複数のフィンガーとなって落下した。2.二重拡散プルーム現象直線的濃度勾配を持つ空気の入った直方体容器の下面の一部を加熱した場合、N<0.2では濃度プルームが上昇したがある高さで停止し次第に太くなった。その後、プルーム外側の下降流により傘ができた。3.ソーラーポンド立方体容器内で水と塩水を上下二層に重ねた系の下面を連続的に加熱した場合、上層と下層との間の濃度成層が、共存する温度成層を安定化し上層での二次熱プルームの発生を抑えた。その結果、下層の蓄熱効果は高くなった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件)
第43回日本伝熱シンポジウム講演論文集, 名古屋 I232(CD版)
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