研究概要 |
本研究はびびり振動の発生を回避するという目的で、びびり振動発生の判別に関するファジィニューラルネットワーク(FNN)について研究してきた。判定についてはある程度のレベルが達成できたと考えられる。その際に問題となるのは、実環境での振動データの取得を容易に行うということである。可能な限り加工過程に影響を与えない点を考慮すると、加速度センサ等を被作物および工作機械に取り付ける必要のない手法が望まれる。 平成17年度においては、16年度に行ったブランドソースセパレーション(BSS)に関する独立成分分析(ICA)の手法を再構築することにより、本手法を切削音の抽出に利用するための手法を検討した。本年度は、信号源の復元のために工作機械の動特性を考慮することが重要であると考えられるので、振動しているシステムの特性についても同定する手法について考えた。昨年度のICAを実現するためのプログラムを拡張して、離散時間データの時系列を扱う拡張状態方程式の形式ICAを適用した。しかし,ICAは測定信号から源信号とシステムを同定する手法であるが、現実には困難な点もあることから、ここでは測定した振動データから対象構造の動特性を同定することにより、工作機械の動特性を時系列表現する際の係数に関する値を求めるものとする。すなわち、ICAとは別の測定信号からシステムの動特性を同定する手法を用いた。部分空間法による出力信号のみによる動特性同定を行い、ICAとくみあわせることにした.ICAの時系列広帯域の周波数成分を持つM系列による入力を予測するシミュレーションにおいては、信号原およびシステムの同定は満足する結果が得られたが。実際の信号を対象にした振幅および振動数が変動する信号原には十分な結果が得られなかった。実環境では反射音等によりさらに複雑になると考えられるので、今後も手法の改良が必要である。
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