研究概要 |
平成15年度に開発した4組の半円弧はりと磁気減衰を用いた簡易免震テーブルについて地震応答解析を行い,テーブル板に搭載する機器の質量と最大応答加速度の関係(応答スペクトルに相当する)を求めた。その結果,搭載質量が26〜866kgに変化しても応答加速度は入力加速度の1/25〜1/6程度に低減し,本テーブルは搭載質量の広い範囲で免震効果を持つことを確認した。試作した免震テーブルに高さ1.8mで,三つの集中質量(各5kg)を有する塔状構造物モデルを搭載して地震応答実験と解析を行った結果,構造物モデル最上部の加速度および転倒モーメントは,構造物モデルを振動台に直接設置した場合に比べて1/16〜1/10程度に低減し,本免震テーブルは背の高い機器の転倒防止にも有効であることが確認された[日本機械学会論文集(C編),71-702(2005)]。また,機器免震装置用および建物向け動吸振器用ダンパの一つとして,ラック・ピニオンと希土類磁石を用いた長ストロークダンパを開発し,7層建物内6層に設置された免震装置に用いたときの免震効果をモデル実験と解析により確認した[13^<th> World Conference on Earthquake Engineering (2004)]。 開発した免震テーブルを3層建物用の動吸振器として用いた場合について,動吸振器の解析パラメータが伝達関数に与える影響を考察し,動吸振器の設計パラメータを設定して地震応答解析を行った結果,建物の応答は各層とも1〜3割程度低減することがわかった[日本建築学会2004年度大会]。また,地震応答解析により,主方向と直交方向で剛性が異なる建物に本動吸振器を適用した場合も有効な制振効果が得られることを確認した[日本機械学会 D&D 2004]。平成15・16年度に得られた知見をまとめ,「9th World Seminar on Seismic Isolation, Energy Dissipation and Active Vibration Control of Structures(2005-8)」において発表する予定である。
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