研究概要 |
本研究により得られた成果を以下に示す. 1.立位・座位姿勢下での人体動特性の解明 大型加振機による正弦波スイープ加振を行う事により,立位・座位姿勢にある被験者の頭・肩・腰・膝の周波数応答を求めた.これにより,上下方向については姿勢による動特性への影響が見られないものの,左右・前後方向については大きく異なる事が明らかとなった. 2.不快感の周波数依存性の解明 被験者にさまざまな周波数の正弦波を与え,各々の振動について不快度と不快に感じた部位を回答させる評価実験を行った.その結果,不快感は上下方向では身体各部の共振と,左右・前後方向では振動の変位に主に依存する事が明らかとなった.また,現在最も一般的な乗り心地評価指標として用いられている旧国鉄基準と比較すると,屈折点となる周波数がまるで異なることが分かった. 3.乗り心地評価式の作成 被験者に列車振動を再現した2軸連成振動を与え,不快度の評価を行った.また加振と同時に頭・肩・腰・膝の加速度を測定した.不快度の評価点を目的変数,身体4ヶ所の加速度の1/3オクターブバンド分析結果を説明変数とした重回帰分析を行い,これにより人体動特性から乗り心地が予測・評価可能な重回帰式が得られた.その予測精度は良好であり,床振動のみで評価する従来手法と比較してよりよい予測性を持つ事が確認された.
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