研究概要 |
リハビリテーションの現場において,筋活動状況や関節モーメントを定量的に把握することができれば,それらは,リハビリの指導を行う上で非常に貴重な情報となる.関節モーメントを得る方法としては,複数台のカメラと床反力計を組み合わせる方法などが広く用いているが,高価であること,据え置き型であること,場所の制約を受けることなどの理由により,一部の研究機関や大病院で研究用に使用されているのが現状である. そこで,本研究では,(1)患者に負担をかけない,(2)場所の制約がない,(3)コンパクト,(4)安価なシステムとして,医療の現場でも簡単に使用可能な履物に内蔵したセンサと信号処理を用いた計測方法を開発することを目指し,今年度は以下のことを実施した. 医療現場でも,簡便に信号処理で用いるパラメータの校正が行えるように,可搬型の校正用ロードセルを試作し,それを用いた現場用の校正システムを開発した.さらに,得られたパラメータを用いて,センサを身に付けた被験者の歩行中の床反力,足関節モーメントをリアルタイム出力できる計測システムを開発した.さらにそれらを一体化することにより,現場で患者ごとの信号処理用のパラメータ同定と歩行中の床反力・足関節モーメントの計測をまとめて実行し表示できる簡便な計測システムが完成した. また,CCDカメラの画像上でのマーカーの大きさに着目した単眼視カメラによる簡易的な下肢の3次元動作計測法を開発し,歩行器などにカメラを取り付ければ,センサも被験者と一緒に動くので,歩行中の患者の下肢の運動を場所の制約をあまり受けずに近似的に計測することが可能になった.
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