安全性と作業性を考慮したマン・マシン融合船舶搭載型旋回クレーン制御システムの開発

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15560212
• 研究機関: 徳山工業高等専門学校
• 研究代表者: 兼重 明宏 徳山工業高等専門学校, 機械電気工学科, 助教授 (70224615)
• 研究分担者: 藤本 浩 徳山工業高等専門学校, 機械電気工学科, 助手 (00311085)
• キーワード: 旋回クレーン / 船体動揺 / 振れ止め制御 / 作業効率 / 安全性 / 搬送制御 / 荷振れ / 直線搬送

研究概要

本研究は、船舶搭載型の旋回クレーンを対象とし、安全性と効率性の観点から、人間の優れた判断能力と機械の優れた経済性、信頼性の利点を生かし、(a)監視と操作はオペレータ(人間)に依存させる。(b)目標軌道の導出や荷振れを抑制するための制御入力は機械的(自動的)に与える。(a)を(b)を融合させたマン-マシン共存型の船舶搭載型旋回クレーン搬送制御システムの構築を行う。これにより、非定常型の作業に対して融通が利き、しかも安全性、効率性の高いシステムの実現を図ることができると考える。これまでに、実験検証を行うための装置を設計・製作し、船上に搭載している旋回クレーンモデルを導出している。旋回クレーンの運転は、旋回、ブームの起伏、荷の巻き上げ下げの3動作からなり、その操作は複雑で熟練オペレータの経験と勘に頼っている。そこで研究の一段階として、本年度は、旋回とブーム起伏動作の2つの操作だけでクレーンの運転を行うことができる運転支援システムの開発を行った。開発したシステムは、ブーム起伏角を計測するだけでシステムを構築することができ、設備コストの面においても優れている。また、このシステムを従来から試みている旋回、ブームの起伏、荷の巻上下げのそれぞれの動作を同時に操作する目標軌道にも適応し、可能な限り最短距離を通る直線搬送軌道上を,荷振れを生じさせないような操作入力として与え、実験検証を行った。直線搬送により旋回による荷振れが少なくなり、与える目標軌道としては有効な方法と言える。今後は、本研究経費で購入したDSPを用い、従来行った荷位置の軌道に着目した手法を適用し、制御系荷振れの抑制を考慮した搬送制御システムの構築を行う予定である。

研究成果

• [文献書誌] 神保英敏, 兼重明宏: "旋回クレーン運転支援システムの開発"日本機械学会第34回中国四国発表講演会. 34. 164 (2004)
• [文献書誌] 赤松武, 兼重明宏: "ポテンシャル法による自律走行型天井クレーンのオンライン経路計画"日本機械学会第34回中国四国発表講演会. 34. 163 (2004)
• [文献書誌] 兼重明宏, 伊藤 尚, 森野数博, 戸田善久: "PICマイコン制御製品開発による総合演習教育"工学教育. Vol.51, No5. 74-79 (2003)
• [文献書誌] 兼重明宏, 伊藤 尚, 森野数博, 戸田善久: "PICマイコン制御製品開発による総合演習教育の試み"日本機械学会2003年度年次大会講演論文集. Vol.V. 197-198 (2003)
• [文献書誌] Akihiro Kaneshige, Takeshi Akamatsu, Kazuhiro Terashima: "Real Time Path Planning Based on the Potential Method with 3-D Diffusion Process for an Overhead Traveling Crane"The 5th Asian Control Conference. To appear. (2004)
• [文献書誌] Takeshi Akamatsu, Akihiro Kaneshige, Kazuhiro Terashima: "Real Time Path Planning Based on the Potential Method for an Autonomous Mobile Overhead Traveling Crane"2004 IEEE International Symposium on Industrial Electronics. To appear. (2004)
• [文献書誌] 寺嶋一彦, 兼重明宏, 他: "システム制御工学"朝倉書店. 194 (2003)