本研究は、船舶搭載型の旋回クレーンを対象とし、安全性と効率性の観点から、人間の優れた判断能力と機械の優れた経済性、信頼性の利点を生かし、(a)監視と操作はオペレータ(人間)に依存させる。(b)目標軌道の導出や荷振れを抑制するための制御入力は機械的(自動的)に与える。(a)を(b)を融合させたマン-マシン共存型の船舶搭載型旋回クレーン搬送制御システムの構築を行う。これにより、非定常型の作業に対して融通が利き、しかも安全性、効率性の高いシステムの実現を図ることができると考える。昨年度までに、実験検証を行うための装置を設計・製作し、船上に搭載している旋回クレーンモデルを導出した。また、旋回クレーンの運転の旋回、ブームの起伏、荷の巻き上げ下げの3動作からなる操作を簡単化するため、旋回とブーム起伏動作の2つの操作だけでクレーンの運転を行うことができる運転支援システムのソフトウェアの開発を行っている。昨年度までの支援システムは、実験装置に与える入力はコンピュータ上で作成された入力であり、外部から操作、すなわちヒューマン・インターフェイスの部分が未完成であった。本年度は、ヒューマン・インターフェイスの開発と高速な演算を行うためのDSPを用いたハード面の製作を行った。これにより開発したシステムは、人間からの旋回とブーム起伏動作の2つの操作入力を与えるだけで、ブーム起伏角を計測し、荷の高さ位置を一定に保つことができ、安全性の面において優れている。今後は、従来行った荷位置の軌道に着目した手法を適用し、制御系荷振れの抑制を考慮した搬送制御システムの構築を行う計画である。
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