研究概要 |
過アクチュエータ機構を運動可能にするために弾性要素を付与した機構の総合手法ならびに運動学と力学条件を同時に考慮した運動制御手法の確立を目的とし,弾性要素を付与した平面網構造ロボットの総合と運動制御を試みた.得られた結果は以下の通りである. (1)弾性平面網構造ロボットの総合:直動アクチュエータと多対偶素節を回転対偶を介して相互に接続して得られる網構造モジュールの各アクチュエータに直動ばねを付与した弾性網構造モジュールを総合し,得られた多数のモジュールを相互に接続して大規模な弾性平面網構造ロボットを総合した. (2)機構の分類と姿勢決定パラメータの決定:弾性要素を含む機構中の多対偶素節の運動を記述するための姿勢決定パラメータを定義するとともに,平面弾性網構造ロボット中の連鎖が静止系の直接接続されているかおよび閉ループ連鎖を含むかにより4種類に分類して,それぞれについて姿勢決定パラメータを決定法した. (3)ロボットの順運動学解析:弾性平面網構造ロボットの閉回路方程式および直動ばねの弾性力に基づく力とモーメントのつりあい方程式を連立させた弾性入出力方程式を導出し,この弾性入出力方程式を数値解析によって解いてロボット全体の運動を求める順運動学解析を行った. (4)出力コンプライアンスを目的関数とした最適逆運動学解析:擬似逆ヤコビ行列を用いた一般解における任意ベクトルに目的関数である出力コンプライアンス行列式の微分値を与えて入力関節速度を得る逆運動学解析法を提案した.この結果,出力節の剛性を維持しつつ所望の運動を実現できる. (5)ロボット試作および制御実験 閉ループ連鎖を含む5自由度8アクチュエータ弾性平面網構造ロボットを試作し,前項の出力コンプライアンスを目的関数とする最適逆運動学解析に基づくCP制御を試みた結果,ロボットは所望の運動を達成し,本研究の提案の妥当性が検証された.
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