研究概要 |
本研究では,制御された動力機械を人間が直接物理的に操作する形態の人間-機械系において,操作者から見て操作性の高いシステムを実現するための制御系設計の指針を,実験により明らかにすることを目的としている.本年度はその初年度として,従来の研究成果を踏まえ下記を行なった.まず,6自由度ロボットマニピュレータのエンドエフェクタに模擬ツールを付加し,水平においたプラズマディスプレー上の表示に沿って,平面内2次元3自由度操作を可能にする作業シミュレータの制御プログラムを開発した.この作業シミュレータを用いて以下の3点について検討した.力外乱抑制時の操作者の動特性自己整形特性について,従来行なわれていた1次元動作,操作運動覚フィードバックのみの実験を,2次元3自由度運動,視覚・操作運動覚併用時に拡張し,実験と解析を行なった.その結果,操作性能が高くなるような操作対象特性を判定する指標と,個人差が顕著となる設定を示唆する結果が得られた.操作対象の動特性変化を操作者に伝える対象変化伝達特性の効果について,モデルタスクとしていわゆるボール&ビーム安定化作業を取り上げ,垂直平面内の2次元2自由度操作の実験的検討を行なった.その結果,明らかに操作性能が高まるような対象変化伝達特性の設定が存在し,被験者によって一定の傾向のあることが確認できた.さらに,高度なツール操作作業の例として,水平面内に回転運動する対象に対して望みのツール軌道を実現する操作を取り上げ,視覚的な補助情報提示手法と,操作運動覚を介した力覚的な補助情報提示手法として,基本的と思われるいくつかの手法を実現し,その効果を実験により検討した.その結果,目標運動に対する操作結果の評価指標として,軌跡の偏差,操作方向の速度偏差,ツールの向きの偏差のそれぞれについて,視覚と操作運動覚に対して有効な補助手法があることが確認できた.
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