研究概要 |
近年,コンピュータの急速な発展を背景に,生産自動化に対する期待は大きくなり,大規模化,複雑化が進んでいる.また,信頼性やコストパフォーマンスの面から,ソフト/ハードウェアアーキテクチャは集中処理から分散・並列処理へと移行してきている.しかし,生産システムなどの事象駆動型システムでは,非決定性から来る制御条件の組合せの複雑さが不可避であるため,制御メカニズムの適切な表現法,解析法が十分に確立されていない.本研究では,制御ソフトウェア開発の高信頼化と高効率開発を狙いとして,システム全体の制御論理を構造化・階層化して表わすことを特徴とした構造化階層ネットを開発した.さらに,これに基づく,制御システム開発支援システムの基本モデルを開発した.開発した方式をFA制御システムに適用して,方式評価した結果,当初の目標を満足できることを確認した. 1.FA制御理論、ハード構成の記述方式開発 従来のプログラマブルコントローラにおけるラダーダイアグラム記述等の問題点を考察し、並行動作システムの振る舞いを記述、解析するために提案されたペトリネットモデルに基づいて、Factory Automation制御論理、およびFA構成機器の記述方式の基本方式を構築した。さらに、開発するペトリネット指向の新たな高度プログラミング方式が、シーケンス制御ソフトウェアのフレキシビリティ、信頼性の向上、開発工数削減などに有効であることを自動化生産ラインに適用して評価した。 2.制御仕様検証支援方式 設計段階での安全性の検証支援方法が望まれる。そこで、ペトリネットの可達木生成の手法により制御対象システムがとりうる全状態を自動的に洗い出し、それを基に与えられた制御仕様のもとで要求仕様に反するシステム状態がないかどうかを検索し、デッドロック論理不良等を効率的に検出する方式を開発した。
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