研究概要 |
従来の硬くて重い機械ロボットシステムの限界を打ち破り,生体や環境と優しく接することのできる柔軟マニピュレーションを実現するため,高速,かつ安定して動作するデバイスとして注目されるイオン導電性高分子アクチュエータ(人工筋肉アクチュエータ)と,画素ごとの超並列処理により1msのサイクルタイムを可能にした1ms超並列・超高速ビジョンシステムを用い,これまでになく構造を簡素化した人工筋肉マニピュレータを提案・製作した.またこれを1ms高速視覚フィードバックで制御して,その有効性と改善目標を明らかにした. 本年度は2次元でのマニピュレーションのために必須の各要素を開発した.すなわち平面からなるマニピュレータを制作し,これを1台のカメラで側面から観測して,2次元空間内での位置・姿勢の測定,及びハンドリングの実験に成功した.また新しい制御手法を提案し,各種のシミュレーションにより,その有効性が確認できた.具体的には以下の通り. 1.2次元で動作する人工筋肉マニピュレータを設計し,製作した. 2.レーザ加工により,マニピュレータに適した電極パターン整形を行った. 3.電圧,もしくは電流応答を測定し,各部分ごとに動作試験を行って制御方式を検討した. 4.マニピュレータの形状を制御するため,近似の運動学方程式をたて,ヤコビアンを用いた制御アルゴリズムを導出した. 5.各種シミュレーションにより,提案した制御アルゴリズムの有効性を確認した. 6.CPV-IIシステムでマニピュレータの動作が観測できるよう,光学系や照明など環境を最適化した. 7.CPV-IIシステムで手先を認識し,その位置情報を元に屈曲動作の再現が可能なことを確認した. 8.視覚による位置姿勢制御,及びハンドリングの実験を行い,制御性能を確かめた. 以上の結果から,今後,より自由な制御を実現するために,動特性の測定と動的制御の方法について,より詳しい検討が必要なことを明らかにすることができた.
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