研究概要 |
電気機器の設計開発には有限要素法による電磁界解析が必要である場合が多い.このような解析においては,解析領域を多数の要素に分割して有限要素モデルを作成する必要がある.従来このような分割のために,粗い有限要素モデルから出発して,有限要素解析と誤差評価に基づくメッシュ分割を多数回繰り返すアダプティブ法が使用されてきた. 本研究では,上記のアダプティブ法とは異なり,有限要素解析を繰り返さずに適切な有限要素モデルを生成する手法を開発している.本法では解析者が作成した簡単なモデルから得られる要素ごとの電磁界に加え,各要素の電磁材料の角点や界面からの距離,誘電率や透磁率,ソース電荷・電流からの距離,有限要素の大きさ,解析者の指定等,種々の要素属性から有限要素をどのように分割するかを決定する.この決定法は異なる電磁界解析を行う度に改善され,学習結果が蓄積される.したがって解析を重ねる度に,生成される有限要素モデルの質が向上する.また学習させたことのない解析対象についても,蓄積された学習結果に基づき適切なモデルを生成することができる.開発している学習機械はあたかも経験を積んだ解析者のような働きをすることが期待され,2次元,3次元の解析対象について適切な有限要素モデルを高速に生成できると期待できる. 平成15年度の研究では,2次元静磁界解析に本手法を適用し,適切な要素属性の選択に関する検討を集中的に行った.その結果,異なる解析対象についても適切な要素が得られるような汎用性の高い要素属性は(1)要素面積,(2)磁性体の角からの距離,(3)磁束密度の大きさ,の3つであることがわかった.一方,(3)に対する重みの変化に対して,生成される有限要素モデルが大きく異なることがわかり,この点が次年度の検討課題として残った.
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