研究概要 |
本研究では,電気機器解析のための有限要素モデルを自動生成する学習機械を開発した.まず粗い初期メッシュをつくり,それを細分化することで目的の有限要素メッシュを生成する方法(以下,シンプル法と呼ぶ)を検討した.メッシュ生成過程では,磁束密度の大きさや角点からの距離などの特徴量の重み付き線形結合であるpを用い,pの大きな要素は誤差が大きいと推定して,その要素を分割する.そして最も誤差の少ない有限要素メッシュが得られる線形結合の重みを遺伝的アルゴリズムにより決定する.さらにこの係数を他の類似なモデルの有限要素メッシュ生成に用いる.このシンプル法により実際に有限要素メッシュを生成した結果,得られる有限要素メッシュの質が保障されず,扁平な要素が含まれてしまうことが判明した. 上の問題点を解消するために,要素の最長辺の長さからその適切な分割数を計算する「メッシュ制御法」を開発した.また要素の分割を行うか行わないかの判断を合理的に行うための指標を導入した.この方法を2次元の磁気ヘッドモデルに適用して有限要素メッシュを生成したところ,角度比によるメッシュ特性評価においては,評価関数の平均がシンプル法は0.251であったのに対して,メッシュ制御法では0.466となり,メッシュ特性の向上が確認できた.また,半径比によるメッシュ特性評価においても,評価関数の平均が,これまでシンプル法は0.455であったのに対して,メッシュ制御法では0.787となり,メッシュ特性の向上が確認できた.しかしこの方法によっても,初期の粗いメッシュの影響をうけるため,初期メッシュの形状が扁平な場合には,よい結果を得ることができなかった. そこで初期メッシュを用いるのではなく,節点濃度をバブル法により制御する「バブル法」を開発した. 本法を用いることにより精度をメッシュ制御法よりも向上させることができ,また初期メッシュによらない安定した質のよい有限要素メッシュを得ることができた.
|