本年度の研究の結果得られた結果を以下に箇条書きに記す。 (1)同期発電機1台が2回線送電線を通して無限大母線に接続されている1機無限大母線系統の同期発電機母線からローカル送電線を通して風力発電機が接続されているモデル系統を設定し、以下に示すような解析を行い、新たな知見を得た。 1a)風力発電機-風車系に対して2質点モデルを導入し、2回線送電線の発電機至近端での3相地絡故障に対するシミュレーション解析を行った。この際、風力発電機は多数台の風力機を合わせた大出力機1台とした。種々の慣性定数、軸のバネ定数に対して計算を行い、その結果として、バネ定数が大きいほど風力機の過渡安定度が高い、慣性定数に関しては全体として慣性が大きいほど安定度が高く、特に風力発電機の慣性が大きいほど安定度が高いことが明らかとなった。 1b)上記1a)において、風力発電機を出力が1/2の2台並列に分割し、種々の出力の割合を設定して同様な解析を行った。その結果、出力の高い発電機ほど不安定になりやすいことが判明した。 1c)以上の解析において、風力発電機-風車系を単質点モデルとした場合の解析も行い、いずれの条件においても風力機が安定となることを確認した。従って、2質点モデルでは不安定になる場合が多々あることから、多質点モデル表現の重要性を確認した。 (2)上記(1)で用いたモデル系統の風力発電機至近端に可変速フライホィール発電機を設置した新たなモデル系統を設定し、同様に3相地絡故障に対する検討を行い、以下の知見を得た。 2a)可変速機は風力機の定常運転時に必要な無効電力を供給することができ、従って風力機に併設される力率改善コンデンサを省略することができる。 2b)地絡故障時に高速に可変速機から風力機に無効電力を供給することにより、風力機の過渡安定度を改善できる。 2c)風速変動に伴う風力機出力変動を可変速機からの有効電力補償により平滑化することができる。
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