研究課題/領域番号 |
15560235
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電力工学・電気機器工学
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅史 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (60226553)
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研究分担者 |
吉村 昇 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (60006674)
伊藤 淳 福島工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (70193472)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 等価回路解析 / 水トリー / 損失電流 / CVケーブル |
研究概要 |
高度成長期に設置した架橋ポリエチレンケーブル(CVケーブル)は既に設計寿命の30年を経過し、更新期を迎えつつある。ケーブル事故の3分の1は水トリー劣化によるものであり、この水トリー劣化を診断する手法として交流課電下における損失電流波形を測定する手法の開発が進んでいる。損失波形には歪みが見られ、歪をもたらす高調波のうち最大である第三高調波電流と水トリー寸法、交流破壊電圧等との間には相関関係が見られ、非貫通水トリーでも検出できる有効な劣化診断方法として考えられている。これを理論的に解析を行う際、水トリーの寸法を考慮したモデル化はされているが、水トリーの形状を考慮したモデル化はされていない。そこで本研究では、初年度に格子状に配置した静電容量と抵抗からなるXLPEの等価回路の一部を、水トリーを模擬した電圧依存型抵抗(VDR)に置き換えることにより、水トリー劣化したXLPE試料の等価回路モデルを作製し、回路シミュレータにより損失電流波形の計算を行った。また,次年度に水トリーの形状及び長さを考慮したモデルを作製し、このモデルを用いて水トリー検出に有効な様々なデータをPSpiceにより求めた。その結果、本研究で提案した等価回路モデルにおいて、貫通水トリーの電圧-電流特性の実測データよりVDRの特性を適切に設定することにより貫通水トリーの電圧-電流特性を正確に表現できることが分かった。また、水トリーの進展に伴う損失電流波形の変化をシミュレーションしたところ、過去に報告されている結果とよく一致することが分かった。また、水トリー部の面積が同じでも形状が異なる場合、また水トリーの寸法が同じでも形状が異なる場合には損失電流波形にも差異が見られること、損失電流の歪から水トリーの検知を行う際には加える電圧、周波数により第3高調波の比率が異なる、つまり波形の歪み具合が異なる事が分かった。さらに、貫通水トリーの形状と併せた電圧-電流特性が得られた。未貫通水トリー形状と併せた損失電流波形のデータが得られ、水トリー形状によって損失電流波形の大きさが異なることが確認された。このデータはシミュレーションで求められた損失電流の妥当性を検討する上で極めて有用となる。
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