研究課題
基盤研究(C)
現状の可視化システムは視覚情報のみを駆使するものであった。一般に電磁現象は、その空間の中に鉄心などを挿入すると電磁力が働く。また、3次元空間中に表示した磁束線に沿っても力が働いており、これらを観察者が触覚により認識できれば、視覚情報、触覚情報の両面から電磁現象を体感できることになり、研究者、学生への感性の刺激はさらに向上する。本研究代表者は、以前から触覚情報を併用する2次元システムの開発を行い、視覚と触覚情報の併用が有効なことを確認した。本研究では、観察者の感性を視覚、触覚の両面から刺激するインターラクションシステムを3次元VR空間に実現するために下記の研究開発を行った。(1)3次元触覚機能を活用した3次元空間分布情報とのインターラクションシステムの開発:バーチャル電磁空間内における電磁力を観察者に感知させる一方法として、空間中の鉄心をPhantom触覚センサーにより操作することにより、鉄心が受ける電磁力を直接観察者の手に感ずるシステムの開発を行った。さらに、観察者が鉄心を操作することにより、空間の物理量分布(磁束密度分布・磁束線)が変化する状況をステレオで実感できるインターラクティブシステムの開発を行った。(2)電磁力計算アルゴリズムの開発:3次元空間に分布する電磁場内に挿入された鉄心や電流には電磁力が働く。この電磁力計算とそのベクトルにより触覚センサーを動作させるアルゴリズムを開発した。(3)インターラクションシステムのGUIの開発:3次元空間に分布する物理量の観察において、視覚による情報のみでなく、触覚による情報を加味したインターラクションシステムを開発するには、観察者に親切なユーザーインターフェースが完備されることが必要であり、その開発を行った。(4)リアルタイム応答を実現するためのアルゴリズムおよびデータ構造の開発:(2)の電磁力を観察者が触覚により認知するためには、バーチャル3次元空間内で観察者のアクションに応答して、リアルタイムに反応しなければならない。すなわち、インタラクティブに電磁空間にアクセスしながら、思考の中断が起きないように高速度でかつ正確に応答する必要があり、そのためのアルゴリズムとデータ構造の開発を行った。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
日本シミュレーション学会誌 Vol.23, No.3
ページ: 212-220
International Journal of Applied Electromagnetics and Mechanics 19 Vol.19, Nos.1-4
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Journal of the Japan Society for Simulation Technology vol.23, No.3