研究概要 |
平成15,16年度に製作した補償電源及び制御プログラムによる試験結果,ほとんどの入出力変動パターンにおいて,常伝導抵抗が補償され,シールド条件,つまり超伝導主コイルの電流変動が抑制される条件が満足されていることが確かめられたが,一部の変動パターンにおいては制御不能となる現象が見られた。このため,17年度の研究においてはこの原因の究明とその改良を行った。 制御不能となるのは変動電流の方向が変わる場合に起こっている。これは補償電圧を常伝導コイルの電圧降下分,つまりシールドコイル電流に比例したもので作っているが,シールド電流の方向が変わる際,電流零の点を通り,補償電圧も零となる。この時,制御回路等の動作遅れにより主電流が変化してもシールドコイル電流は零から変化出来ず,制御不能となると考えられた。これを避けるため,変換器出力電流の変化分に比例した電圧を出力する制御方法により実験を行った。その結果,変換器出力電流の変化のパターンによらず,電流変化分は全てシールドコイルに流れ,主コイルの電流は一定となるシールド動作をすることが確かめられた。 次にシールドコイルシステムにおける電磁力について,ここで検討の対象としている系統制御用SMESの規模ではコイルの受ける電磁力の平均的な力は十分小さいことが15年度の結果示されているが,局所的には大きい応力が発生する可能性があり,有限要素法による検討を行った。その結果,主超伝導コイルに近い,シールドコイル中央部付近でやや応力が大きくなるが,コイル材料の応力限界より十分小さく,電磁力変形については問題がないことが確認された。
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