「課題1 人体及び機器間の電位差を検討するため、接地電極周囲の電位とその分布、および電位傾度を縮尺模型電極と数値計算によって検討するに関する研究」に関しては、新たに案出した電位計算式を基に、メッシュ状接地電極が垂直断層の2層構成大地に埋設された場合を想定して接地特性を検討した。その結果、(1)電極が埋設された大地抵抗率と垂直断層を境とした反対側の大地抵抗率の比が100倍あるいは1/100以内の検討を行えばよい。(2)垂直断層からの距離がメッシュ状接地電極の1辺の長さの約10倍で均質大地に対する検討で良い。(3)垂直断層と接地電極の間の電位傾度は、崖を想定した場合ではが緩和されるが河岸等を想定した場合では急峻となるなどを明らかにした。結果の一部は平成16年度の電気学会と電気設備学会の全国大会で発表した。 「課題2 中性点接地方式における接地抵抗と接地インピーダンスに関する研究」に関しては、TN方式で問題となる地洛故障が短絡故障となり、不要電流が中性線を介して環流する問題点を回避するため、中性線に挿入する抵抗と高周波ノイズ除去用広域減衰器とを同時に併用した場合の利点と新たな問題点を整理した。結果の一部は平成16年度の電気学会と電気設備学会の全国大会で発表した。 一方、接地電極のインピーダンス特性では、建築廃材・工業廃材のFRPを有効利用するため、超微粒子状に粉砕したFRPに炭素微粒子と凝固剤を混入して創製した新たな接地電極材料を開発した。この材料の周波数特性を測定した結果、約5MHzまで低インピーダンスでしかも容量性となり、有効な接地電極であるとの知見を得た。この概要は、清華大学(中国:シンセン)で開催された"The 12^<th> Asian Conference on Electrical Discharge"にて発表した。
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