「課題1 人体及び機器間の電位差を検討するため、接地電極周囲の電位とその分布、および電位傾度を縮尺模型電極と数値計算によって検討するに関する研究」に関しては、新たに案出した電位計算式を基に、接地電極の接地抵抗値を電位降下法により確認する場合、被測定電極の周囲に存在する接地を意図しない埋設導体が測定結果に及ぼす影響について検討した。その結果、(1)埋設導体が何れの場所に存在しても接地抵抗は低く測定され、真値を確認することが出来ない。(2)しかし、埋設導体の規模が被測定電極の規模の1/16以下なら、測定結果に及ぼす影響が比較的少ない。(3)接地抵抗値は自然発生的に低くなる。等を明らかにした。従って、電気安全の確保を接地抵抗値(電位上昇のみ)ではなく歩幅・接触電圧を基本とするグローバルアーシングの概念を採用する事を提案した。結果の一部を平成17年度の電気学会と電気設備学会の全国大会で発表した。 「課題2 中性点接地方式における接地抵抗と接地インピーダンスに関する研究」に関しては、構造体接地方式を採用すると、一般的に接地端子は構造体の鉄骨或いは鉄筋に取られる。この時、各種の故障電流は、鉄骨或いは鉄筋の周囲に存在するコンクリートを介して大地に流出する。しかし現在、コンクリートの電気的な特性が明らかにされているとは言い難い。従って、接地特性を検討する上でコンクリートの特性を知ることは重要である。結果の一部として、含水率と電気抵抗率(周波数は一定)との関係を、平成17年度に(社)電気協会が担当する「電気設備技術基準国際化委員会 高圧・特別高圧小委員会WG2」の資料として提出した。
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