研究概要 |
地球温暖化防止や化石エネルギー使用節減を目指すエネルギー効率的利用が重要であり,燃料電池電気自動車の実用化に向けた研究と使用拡大への試みが行われている。一方,電気自動車用燃料電池には始動時の反応遅れ,内部分極による電圧降下,ブレーキの電気エネルギーを回生できないなどの点があり,これらの補完として電気二重層キャパシタが用いられているものの,これらの特性決定方法に関する報告は少ない。 本研究は,燃料電池電気自動車駆動回路への電気二重層キャパシタ適用を前提に,特に電気二重層キャパシタに着目してエネルギー補完能力および省エネルギーの観点から,その最適容量や内部特性,ハードウェア等を明らかにすると同時に,シミュレーションによる幅広い検討を可能にすることを目的として実施した。平成16年度は,出力40kWの実験用車両を用いて路上走行およびシャシーダイナモメータ上の模擬走行により,電気二重層キャパシタによるエネルギー補完効果の確認と利用率向上の実験とシミュレーションによる研究を行った。具体的には,現有実験車両に鉛蓄電池を基本とした燃料電池特性模擬回路を構成し,燃料電池の特性変化に合わせて電気二重層キャパシタの静電容量や内部抵抗値特性の適正化を行う。燃料電池技術自体も開発途上にあり,内部インピーダンスや反応遅れ時間等にも範囲があるため,これらを燃模した走行実験により電気二重層キャパシタの直流電圧補償効果の具体的数値を得た。さらにブレーキ電力エネルギー回収の点については,一定の走行モードではあるが電力回生率として数値を確認した。 これらの実験と並行して駆動回路動作のコンピュータシミュレーションを行い,両者の整合性からシミュレーションによる電気二重層キャパシタ特性のより幅広い検討を可能とした。
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