| 研究概要 |
現在の電力市場においては,エネルギー単価(MWh/円)をベースとして設計されており,電力システムの維持管理に必要とされるコストは,既存の電力会社が負担することになっている。特に,送電システムは教科書等で「バネで結合された重りの結合体」で説明されるように,微分方程式で表される振動系であり,送電線故障などの事故時でも安定に運用するためには多大な労力が必要とされる。本研究では,「安定度を考慮した最適潮流計算法」を利用して,電力市場自由化環境での動的安定性問題の経済性評価手法の提案を行う。提案手法では,多数プレイヤの参加する電力市場を分散人工知能研究の成果であるエージェント技術を用いてシミュレーションし,安定度を考慮した最適潮流計算法を組み合せることで,安定度を考慮した経済的な運用を行うことを目的としている。
本研究は,(1)電力システムの運用状態を正確に把握し,これらの情報をエージェントから利用することのできる枠組みの提案と,(2)市場参加者(プレイヤ)をモデル化した自律エージェントの提案を行っている。本年度はネットワーク上に分散配置された自律エージェントによる電力市場でのシミュレーションとその検討を行った。また,電力システムの過渡安定度に対する経済性評価システムを作成し,シミュレーションによりその有効性を確認した。
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