研究概要 |
今年度に得られた成果について項目別に示す。 1.風車からのデータ収集と特徴信号抽出方法の開発について (1)風車からのデータ収集については,小型風車を設置し,加速度振動ピックアップから風車の運転時における振動信号データを計測・収集するシステムを構成した。 (2)特徴信号抽出方法の開発については,Wavelet変換手法を適用して,振動信号により風車の状態診断を行うプログラムを開発した。 (3)具体的には,風車の異常状態を人工的に発生させ実験を行った。異常状態については,風車翼の破損や着氷雪を想定して,風車翼の1枚におもりを取り付け,おもりの違いによる各種のアンバランス状態を発生させた。正常状態とアンバランス状態で風車を回転し,各状態で計測した振動信号をWavelet変換により信号解析し,正常状態と異常状態を判別するための特徴信号を抽出する手法を開発し検討を行った。 (4)アンバランスの特徴信号を利用した異常状態の判別については,ニューラルネットワークを応用した手法で構成し,その有効性を実測した振動信号を用いて検討した。その結果,かなりの精度で,正常であるかアンバランス状態であるかを判別可能であることを確認した。 (5)これらの成果については,電気関係学会四国支部連合大会,風力エネルギー協会主催の第25回風力エネルギー利用シンポジウムや信号処理に関する国際会議(Nonlinear Circuit an Signal Processing in Hawaii)にて発表を行った。 2.異常状態判別プログラム開発と組み込みの試作について (1)現在,上記1.で開発したプログラムについては,アプリケーションソフト(MTLAB)で開発を行っている。また,データ収集から運転状態の判別を行うまでの処理は,バッチ処理にて検討している。異常診断装置の開発のために,現在,DSP (Digital Signal Processor)を用いたプログラム開発を行っている。 (2)来年度は,開発したWavelet変換による特徴信号抽出法とニューラルネットワークを用いた,風車の運転状態判別法のDSPへの移植を行い,オンライン診断の検討を行う予定である。
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