研究課題/領域番号 |
15560268
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
阿部 良夫 北見工業大学, 工学部, 助教授 (20261399)
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研究分担者 |
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 助手 (70261401)
佐々木 克孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (80091552)
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キーワード | Ru薄膜 / c軸単配向 / 表面粗さ / スパッタリング / サーファクタント |
研究概要 |
RFマグネトロンスパッタ装置を用いて熱酸化膜付Si基板上にRu薄膜を作製した。Ru薄膜の結晶配向性の改善を目的として、基板温度(室温〜500℃)、堆積速度(2.5〜31nm/min)、スパッタガスとして用いたAr+O_2混合ガスの組成(O_2流量比0〜10%)などのスパッタ条件と膜厚(8〜213nm)の影響を検討した結果、基板温度の上昇、堆積速度の低下、適度なO_2ガスの導入(O_2流量比4〜8%)、膜厚の増加により、Ru薄膜のc軸配向性が向上することを確認した。最適条件では、X線回折(XRD)ロッキングカーブの半価幅が1.2°と非常に配向性の良いc軸単配向Ru薄膜を得ることができた。また、Ar+O_2混合ガスの組成によるRu薄膜の表面粗さの変化について、X線回折ピークに現れるラウエ振動と原子間力顕微鏡(AFM)を用いて評価した結果、O_2流量比4〜8%で作製したc軸単配向Ru薄膜の表面形態は、表面粗さが1nm程度と非常に平坦であることを確認した。さらに、O_2ガスの導入は、膜厚10nm程度の極薄膜領域での結晶配向性の改善にも効果があることを明らかにした。 単配向で非常に平坦な表面形態のRu薄膜が得られた理由としては、1)高い基板温度と堆積速度を遅くすることで、基板表面に入射したRu原子の表面マイグレーションが促進されることと、2)Ru薄膜表面に吸着したO_2ガスがサーファクタントとして働き、hcp構造のRu結晶の最密面であるc面の表面エネルギーを下げるとともに、Ru原子の凝集を抑制する効果があるためと考えられる。
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