研究課題/領域番号 |
15560268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
阿部 良夫 北見工業大学, 工学部, 助教授 (20261399)
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研究分担者 |
佐々木 克孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (80091552)
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 助教授 (70261401)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | Ru薄膜 / c軸単配向 / 表面粗さ / スパッタリング / サーファクタント / DRAMキャパシタ / Ta_2O_5薄膜 / RuO_2 |
研究概要 |
DRAM (Dynamic Random Access Memory)や強誘電体メモリ(FeRAM)などのキャパシタ電極、および磁気記録デバイスへの応用が進められているスピンバルブ膜には、表面が極めて平坦で結晶配向性の優れた貴金属薄膜が必要とされている。そこで、本研究では、スパッタリング法により貴金属薄膜を作製する際にサーファクタント(界面活性剤)となる微量ガスを添加し、表面形態および結晶配向性を改善することを目的とした。 本研究では貴金属薄膜としてRu膜をRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製し、基板温度、堆積速度、スパッタガス(Ar+O_2混合ガス)の組成などの作製条件が、表面形態と結晶配向性に与える影響を詳細に検討した。その結果、500℃程度の高い基板温度、10nm/min程度以下の低い堆積速度、数%程度の微量な酸素ガスの添加により、表面粗さが約1nmと非常に平坦で、かつX線回折ロッキングカーブの半価幅が1.2°と結晶配向性の優れたc軸単配向Ru薄膜を作製できることを明らかにした。特に、O_2ガスはサーファクタントとしてRu結晶の最密面であるc面の表面エネルギーを下げるとともに、Ru原子の凝集を抑制して表面形態を改善する効果があると考えられる。 次に、DRAM電極へ適用する上で重要な課題となるRu膜の表面粗さに対する誘電体膜の堆積条件の影響を検討した。Ru膜上に誘電体膜としてTa_2O_5膜をスパッタリング法で堆積し、Ta_2O_5膜の基板温度の影響を調べた結果、Ta_2O_5膜の基板温度が400℃程度以下であれば、Ta_2O_5/Ru積層膜の表面・界面ともに平坦であるが、Ta_2O_5膜の基板温度が500℃に上昇すると表面界面ともに急激に凹凸が激しくなることがわかった。また、この表面荒れの主な原因は、Ru薄膜の表面が酸化されRuO_2が形成されるためであることを明らかにした。この結果、c軸単配向Ru薄膜の優れた表面平坦性を活かすためには、誘電体膜の堆積温度を400℃以下としてRu膜の酸化を抑えることが必要であると結論される。
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