太陽電池、赤外線吸収発電素子、温度差発電素子に応用する各々のシリサイド半導体結晶の成長を行い、構造的性質を明らかにした。 β-FeSi_2薄膜については、Sb同時照射RDE法、及び溶融塩法によりSi及びFeSi基板上に成長し、その薄膜構造を透過形電子顕微鏡(TEM)、走査形電子顕微鏡(SEM)により評価した。RDE法では、成長条件を適切に選ぶ事によりナノサイズの結晶粒子から連続薄膜まで薄膜のモルフォロジーを制御できる事を示した。溶融塩法により成長した薄膜は柱状構造を有している事が分かった。ITO/β-FeSi_2構造を作製したところ、整流性が得られる事が分かった。 またSb溶媒を用いてβ-FeSi_2結晶を成長させ、結晶の構造的、電気的特性を調べた。得られたβ-FeSi_2は単結晶である事をX線回折実験、電子顕微鏡法により確認した。また電気的特性を評価し、ドナーの活性化エネルギーが約0.12-0.15eVのn形を示す事が分かった。 バルクSiをMg雰囲気中で熱処理する事によりMg_2Si薄膜及びバルクMg_2Siを成長させ、薄膜及びバルク結晶の構造を評価した。クラックや偏析の生成が認められないMg_2Siを作製する事に成功した。また成長したMg_2Siはn形であり、キャリア密度が約10^7cm^<-3>である事が分かった。また同様の成長法によりバルクCa_2Siの成長に成功した。さらに溶融塩法を用いてもMg_2Si結晶の成長が可能である事を示した。 これら成長された薄膜及びバルク結晶を用いて、次年度より発電素子を作製する予定である。
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