研究概要 |
赤外線吸収発電素子、温度差発電素子に応用する各々のシリサイド半導体結晶の成長を行い、構造的、電気的性質を評価した。 RDE法により絶縁基板上に成長させたβ-FeSi_2薄膜、及び溶融塩法によりFeSi基板上に成長したβ-FeSi_2薄膜の欠陥構造を明らかにした。またSb溶媒を用いた溶媒蒸発法によりβ-FeSi_2ポーラス結晶を成長させ、結晶の構造的、電気的特性を調べた。得られた結晶はn形を示す事が分かった。 Si基板をMnCl_2雰囲気中にて500℃で熱処理する事により、MnSi_<1.7>薄膜を成長させた。基板全体にわたり膜厚が均一な薄膜が得られた。この方法は素子の大面積化に利用出来るものと思われる。 バルクSi及びSiGe混晶をMg雰囲気中で熱処理する事によりMg_2Si及びMg_2Si_<1-x>Ge_x薄膜を得た。基板のSiGe組成比により薄膜の組成比を制御できる事が分かった。またMg_2Siバルク結晶はn形であり、室温でのキャリア密度が約10^<17>cm^<-3>である事、また導電率の温度依存性を調べたところ約200K付近で極大値をもつ事が分かった。室温付近でのゼーベック係数の温度依存性を測定したところ、100℃付近で0.7〜0.8mV/Kの値を得た。さらにCa_2Si, Ca_5Si_3,Sr_5Si_3結晶を単相成長させる事に成功した。またこれらの結晶はp形を示す事が分かった。なおSr_2Si薄膜はMg_2Si/Si基板上に成長できる事を見出した。 これら成長したバルク及び粉末状結晶を用いて温度差発電素子の作製を試みた。次年度には素子の特性評価を行うとともに性能向上を目指す予定である。
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