1.微小帯電量を測定するためにノイズの影響を極力排除したファラデーケージを作製し、塩化ビニルパイプ中に液体窒素を流した場合の液体窒素の帯電量を測定した。 (1)変圧器中の絶縁油に関して報告されている値と比べるとはるかに小さいものの、液体窒素が流動により帯電すること、液体窒素は正極性の帯電をすること、が確認された。 (2)流動させる液体窒素の体積が大きいほど、また、単位時間当りの液体窒素流量が多いほど、液体窒素の帯電量は増加した。 (3)液体窒素の帯電量はパイプ長さとともに増加するが、ある長さを超えると増加はほとんど認められなかった。 (4)パイプをL字形にした場合、液体窒素の帯電量はL字の位置に依存した。 (5)液体窒素とパイプとの摩擦により帯電するものと考えられる。 2.塩化ビニルパイプ中に、スペーサを想定した円柱状の固体絶縁物、あるいは、不純物除去用のフィルタを想定した網を設置した場合の液体窒素の帯電量を測定した。 (1)固体絶縁物設置により、液体窒素の帯電量は増加した。絶縁物の個数を多くすると帯電量は増えるが、やがて飽和する傾向が認められた。絶縁物の数が増えると液体窒素との接触面性が増加するが、多過ぎると液体窒素の流量が小さくなるためと考えられる。 (2)固体絶縁物の位置と帯電量との関係は複雑であり、さらに検討を要する。 (3)網を設置することにより液体窒素の帯電量は増加した。帯電量は網の材質により大きく異なり、銅では高分子材料の場合とは逆の極性に帯電したが、帯電列により説明できる。 3.液体窒素を流動させた塩化ビニルパイプの帯電を、表面電位計を用いて測定した。 (1)液体窒素を繰返し流動させると表面電位は上昇するが、やがて一定値に落着いた。 (2)液体窒素流入口に近いほど、表面電位が高くなる傾向が認められた。
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