研究概要 |
ヘテロアモルファス磁性薄膜材料の試作と試作超高周波磁気デバイスの磁性膜特性向上について開発を行った。膜の高周波透磁率を6-10GHzまで測定評価した結果,μr'/μr"が2GHz以上で10を超えるような磁気特性を持つ膜が製作可能であることを明らかにした(業績1)。 さらに,1次試作デバイス(伝送線路デバイス:業績2)の磁性膜特性向上のための問題点を明らかにし,耐熱性の向上,磁気共鳴周波数の向上について検討した。その結果,耐熱性の向上についてはヘテロアモルファス構造から結晶化させたナノ構造が有効であることを見出し(業績3),磁気共鳴周波数の向上については,形状異方性を利用したスリットパターン法(業績4)およびB元素添加調整(業績5)が有効であること見出した。二次試作では,携帯電話用のコプレーナ伝送線路を試作し,磁性膜の多層化,熱履歴特性の調整のほか,導体ライン形状・厚みの補正などを行い,デバイス設計ならびに作製プロセスなどにもフィードバックした結果,インピーダンス整合が円滑に行われる0.5deB(1-1.5GHzの周波数)以下の低挿入損失を得ることができ,実用レベルにまで二次試作デバイスの特性および磁性膜特性の向上を図ることに成功した。 何れの業績(1-5)においても他者の記録を世界的に上回る特性が得られており,これらの結果をさらに実用,量産のレベルまでに高めるための材料開発およびそれらの基礎となる物性研究を,申請当初の目的と計画のとおりほぼ完了した。
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