研究課題/領域番号 |
15560287
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
松田 瑞史 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (20261381)
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研究分担者 |
上田 勇治 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70001279)
中根 英章 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (20237332)
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キーワード | SQUID / 高温超伝導体 / 低周波磁束雑音 / 磁束ダム / 非破壊検査 |
研究概要 |
高温超伝導体SQUID(超伝導量子干渉デバイス)を、大きな環境磁場雑音下でも安定動作させることを目的として、磁場雑音に強い最適なセンサデバイス形状の検討を、以下のように行った。 1.直結型SQUIDの遮蔽電流によって生ずる雑音について、SQUIDインダクタンスを構成する超伝導YBa_2Cu_3O_<7-x>(YBCO)薄膜細線に電流を印加し、低周波磁束雑音を測定することで検討した。印加電流によって細線で磁束クリープや磁束フローが起こった後に生ずる不可逆的な残留雑音に加えて、印加電流を除去した後に元の値に戻る可逆的な雑音も存在した。前者の生ずる印加電流閾値は後者のそれよりも高く、これらの雑音の原因には細線エッジ部の表面障壁と細線薄膜部のピンニング力が、それぞれ大きく関わっていることが推測された。 2.低周波雑音の源である遮蔽電流が大きくならないように、「磁束ダム」と呼ばれる超伝導性を局所的に弱めた構造を、センサ内に作製することを検討した。具体的には、FIB(集束イオンビーム)を直接照射、または照射後に臭素溶液を用いた化学エッチングを併用することにより、YBCO薄膜の特定部位の超伝導性を深さ方向に制御することに成功した。YBCO薄膜中に形成されるダメージ層(非超伝導層)の深さはビーム加速電圧の大きさで制御でき、その深さ以下の深部YBCOの超伝導性は良好であった。又、金層を通してFIB照射することにより更に深さ制御性が増すことがわかった。 3.市販のセンサによる予備実験を、比較的信号の大きい非破壊検査システムを用いて開始した。励起磁場を用いた渦流探傷法により、深さ・空間分解能について調べた結果、多層構造物(アルミ合金)の下部層の欠陥をも検出可能であることがわかった。
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