研究概要 |
ニューラルネットワークの自己組織化能力を簡単に実現できるハードウエアのチップ化を目的として,可変シナプス結合をマイクロ磁気センサアレイによる磁気素子で構成する神経回路を創案し,その基礎特性を調べた.研究実績の概要は以下の通りである. 1)コイルピックアップ型のMIセンサの構造を拡張した,マイクロ磁気センサアレイによる可変シナプス結合素子を試作し,そのシナプス素子のパルス電流入力に対する演算特性を調べた.すなわち,直径30μmの微細磁性線による4入力型の可変シナプス結合素子を試作することにより,通電パルス電流を神経インパルスに対応させることができるシナプス素子構造が実現できることを示した.この素子構造によれば,長さ20μm,幅1μmの磁性線により,1cm^2あたり約250万個の可変シナプス結合の作製が可能であることが分かった. 2)マイクロ磁気センサアレイによるシナプス子を用いた磁気帰還型のパルス密度変調ニューロ回路を創案しその基礎特性を調べた.このニューロ回路は,スイッチドキャパシタ積分器,アナログスイッチ,C-MOSインバータ,および,AND素子等の少数の汎用半導体素子により構成できる.創案した電子回路によれば1.2μmのC-MOS標準プロセスを用いた場合,1cm^2に約5000個のニューロ素子の作製が可能である. 3)マイクロ磁気センサアレイと,磁気帰還型のパルス密度変調型ニューロ回路を組み合わせた完全並列分散処理型のパルスニューラルネットワークシステムを設計した.設計したニューラルネットワーク構造によれば,ニューロンの発火率コーディングだけでなく,発火間の同期,相関,位相差などの時間コーディングも情報処理に利用できる脳機能デバイスを集積化できる.
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