研究課題/領域番号 |
15560301
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
前田 幸治 宮崎大学, 工学部, 助教授 (50219268)
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研究分担者 |
境 健太郎 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助手 (20336291)
碇 哲雄 宮崎大学, 工学部, 教授 (70113214)
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キーワード | カルコゲナイドガラス / 光導波路 / 希土類 / エルビウム / フォトルミネッセンス / 光吸収 |
研究概要 |
セレンを主成分とするガラスにゲルマニウムとガリウム(Ga)を加え、発光中心として希土類であるエルビウムをドープしたカルコゲナイドガラスをいろいろな組成で作製した。各ガラスについて、光吸収率、フォトルミネッセンス(PL)スペクトルおよび強度の測定を行った。それより各組成での光吸収係数、光学バンドギャップ、また、希土類(エルビウム)の吸収スペクトルの強度より、活性な希土類の量など多くの基礎的な情報が得られた。PL測定では通常はエルビウムの励起は吸収スペクトルと一致する980nmで行うが、その他にも、532,660nmなどマトリクスガラスのバンドギャップを考慮した波長で励起し、スペクトルの変化を調べた。これは、これまでにあまりやられていない方法で、ガラスから希土類へのエネルギー移動を考える上で面白い結果が得られた。それは、980nmではブロードなスペクトルが、532nmでは幅の狭いスペクトルがエルビウム量が多い試料から得られた。この違いから、ガラス内部でのエルビウムのクラスタリング状態が推定できる可能性を示しており、非常に興味深い。これまでの研究成果を2003年11月にサスカチュワン大学グループ、アルバータ大学グループの結果も含めて、お互いに発表する小シンポジウムをカナダのエドモントンで行った。次に熱測定装置を用いて、ホストガラスの特性を決めるガラス転移温度、結晶化温度の測定を高精度に行った。この実験より、ガラスの均一度や安定度が測定できた。以上の結果を総合的に判断すると、ガラスへの希土類溶解量の限界は、ガラス中のガリウムの量が重要な役割を果たし、それをPLのスペクトルの形から判断できる見通しが立ち、重要な成果となった。ガリウムは約6〜12%が適当で、それより大きいとセレンとガリウムの化合物微結晶が析出して、発光特性を悪くなった。また、Erの量は1%程度が限界だが、アニールにより発光特性が向上する傾向が見られ、今後の研究目的の一つなった。
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