研究課題/領域番号 |
15560301
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
前田 幸治 宮崎大学, 工学部, 助教授 (50219268)
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研究分担者 |
碇 哲雄 宮崎大学, 工学部, 教授 (70113214)
境 健太郎 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助手 (20336291)
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キーワード | カルコゲナイドガラス / ガラス転移温度 / 希土類 / エルビウム / フォトルミネッセンス / 光吸収 / ツリウム |
研究概要 |
本年は、ガリウムとゲルマニウムの化学量論組成のカルコゲナイドガラスの構造および、エルビウム以外の希土類を添加したガラスの評価の調査を中心に研究を行った。 まず、これまでの成果より、Ge-Se-Ga系の組成では化学量論組成が最もエルビウムの分散性がよいことがわかっていたので、エルビウムを一定にして、化学量論組成のカルコゲナイドガラス(GeSe_2)_<1-x>(Ga_2Se_3)_x,(x=0-0.3)のガリウムを変化させたガラスを各種作製した。その時の光透過率、PLスペクトル、PLスペクトル強度を測定した。その結果、Ga割合が14at%付近を境に、PLスペクトルがブロードになり発光強度も増加した。しかし、赤外域での光透過率も減少したことから、この変化はGaの増加によりガラス中に不均質構造が形成され、PLの励起光がガラス中で散乱したことが原因でPL強度が増加したことがわかった。Ga14at%以下で透過率60%以上の良質のガラスを選び、エルビウムの量とPL強度の関連を調べた。すると約2at%程度までは仕込み量に比例してPL強度が上昇し、その後は飽和し、4at%程度では明らかに減少に転じた。これよりGe-Se-Ga系化学量論組成では、エルビウムを2at%程度までは、光学的に活性な状態で分散できることが明らかにした。 次に、Ga6at%と一定にした化学量論組成ガラスにジスプロシウム、ツリウム、サマリウム、ネオジウムの4種の希土類を1at%まで添加したガラスを作製した。どの組成でも透過率60%以上のガラスが作製でき、仕込み量と希土類特有の吸収バンドの吸収量は比例した。これらのことからカルコゲナイドガラスはこれらの希土類に対しても十分マトリクスとなりうることを明らかにした。次に488nm励起のPLスペクトルを測定した。その結果、ツリウム以外はPLが得られなかった。これは、それぞれの希土類の吸収帯に相当する励起光源を用いなかったためだと思われる。励起波長を今後検討する必要がある。
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