1.中空円柱誘電体棒を、互いに接するように周期配置したフォトニック結晶(PC)に於いて、そのうちの一列を取り除き、代わりに細い誘電体スラブ(誘電率=2)を設置した導波路を考案し、その特性を計算した。PCに用いた誘電体の誘電率が28.5のとき、規格化半径をr/a=0.37程度に選ぶと、TEモードおよびTMモードの両方にバンドギャップが開き、導波路として機能する。直線における伝搬損失は、50GHzに於いて1.1dBと、誘電体導波路として事実上標準のNRDガイドの3.3dB(@50GHz)に比べて、1/3程度であった。 2.上記誘電体棒の誘電率は比較的高く、安価に手に入る材料とは言い難い。そこで、TEモードのみにバンドギャップが生じる誘電率8.9で構造を再検討した。その結果、直線における伝搬損失は、約2.5dB(@50GHz)で、誘電率が28.5の導波路より劣るが、NRDガイドより勝っている事が判った。 3.マイクロ波帯でよく使用される金属導波管の、E面の管壁を、金属円柱棒を用いたPCで置き換えることは、金属材料の節約になるので有利と言われている。しかし、伝搬損失については、計算されておらず、全く不明であった。今回、この金属導波管のE面を、金属円柱PCで置き換えた場合の、損失を含めた特性を詳細に調べた。その結果、カットオフ周波数を同じにして比べた場合、PCの規格化半径には、損失に関して最適値があり、最小の場合で、金属壁と伝搬損失はほぼ同じになることが判った。また、この場合、管内波長や群速度なども金属導波壁を使用した場合とほぼ同じになることも判った。 4.本研究では、内部を金属コートした誘電体ポストが金属棒と結合したPC導波路を紹介する。これは、2次元PCを組み合わせることで、PCを3次元化しもので、金属導波管と対応させると分かり易いと思うが、H面を金属コートした誘電体ポストのPCで置き換え、E面を通常の金属棒PCで置き換えた構造である。この導波路は、容易に2方向(3次元)に曲げることが出来る。計算からは、30GHzにおいて、1.5〜2dB/mの伝搬損失がある。この損失は、従来の金属導波管に比べて大きいが、PC導波路は、伝搬路の形成と再構築が容易である。
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