研究概要 |
1 自己混合効果を利用した半導体レーザ速度計(LDV)は、従来の方式と比較して、複雑な光学系を使用せずに構成可能なため、センサヘッドの小型化を実現することができる。我々は、Y分岐導波路を使用した2ビーム照射による集積型LDVを提案している。今年度は、2本のファイバ,直線およびY分岐導波路からの出射を観測し、ドップラシノフト周波数へ与える影響を検討した。 2.2本のファイバの先端に直径5mmのグラスロッドをファイバレンズとして設置し,オフセット照射を行った.半導体レーザとしては波長1.55[μm]のDFBレーザを用いた.対象物としてモータを使用した.レンズを光軸方向と垂直にスライドさせ、オフセット角度を変化させたときの、電気スペクトラムアナライザで観測されるドップラシフト周波数を観測した。これより求めたモータ速度は、市販の速度計での測定結果とほぼ一致していることを確認した. 3.つぎにY分岐部のない高分子からなる直線光導波路を用いて実験を行った。対象物を光軸方向と垂直にスライドさせ,ドップラシフト周波数を観測し,理論との対応を行った. 4.Y分岐導波路を用いて、直線導波路と同様の実験を行った。2ポート間のギャップは40[μm]とした。出射端とモータの位置を変化させたとき,3個のドップラシフト周波数を確認した.メイン以外のドップラシフト周波数は他の光路を通って戻ったことに起因する.Y分岐導波路を用いたLDVによる速度測定が可能であることをはじめて確認した。 5.以上の結果より、2ビーム型LDVにおいてY分岐導波路を適用でき、小型センサヘッドの構成が可能となる見通しを得た。今後,ファイバレンズを採用し,2ビームの照射角度にオフセット角度を設け,照射角度に依存しない光集積型センサヘッドの検討を行う予定である.
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