研究課題
基盤研究(C)
THz帯域において、ps以下の高速応答性能を有する唯一のデバイスであるショットキーバリアダイオード(SBD)の広帯域化に関する開発研究である。本研究で新たに放物面ミラーとワイヤアンテナとを組み合わせた新型構造を提案し、その試作に成功した。性能評価を感度特性と広帯域について重点的に測定し、これまでにない広帯域性能を実現した。ダイレクト感度測定の結果、周波数毎の調整無しに1-2THzにおいてその値が約150±50(V/W)と安定しており、従来(コーナリフレクター及びコルゲートフィードホーン)型に比べて周波数依存性を格段に低減化できた。さらに、最高6.3THzまで検出に成功し、5.2THzおよび6.3THzにおける感度は約3(V/W)であった。この値は1980年代にドイツのグループがSBDとワイヤアンテナで記録した値の30倍近い性能向上である。同時にヘテロダイン検出も確認しており、6THzを超えるコヒーレント検出は、世界で初めてである。速報値は核融合研究所のAnnual Reportにまとめた。本新型システムは、同時に、周波数毎に再調整が不要で、アンテナとミラー間距離を数ミリ程度に離すことが可能となった。これは、従来型に比べ、利便性を飛躍的に向上させることであり、常温動作が可能な唯一の高速THzセンサーの広帯域利用を可能とする画期的な技術進化である。その指向特性は、最大放射角が約23度となった。これは放物面ミラーよりもワイヤアンテナの指向特性を強く反映しており、古典的なワイヤアンテナの放射パターンモデルに基づく指向性シミュレーション結果とも良く一致することがわかった。本システムはパルス、CW、共に利用が可能で、THz-TDSやEOサンプリング法等の他のTHzイメージング法に比べて扱いが容易であり、高速性、リアルタイム測定が十分可能である。目標帯域〜10THzのヘテロダインシステム等の実現に向けて画期的な技術進歩の第一歩を踏みだすことができた。今後、ps以下の時間分解能とTHz周波数応答により、多方面、特に生体高分子の実時間分析などの応用実験が期待できる。
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Annual Report of NIFS : April 2003 - March 2004
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IEEE International Magnetic Conference
ページ: DQ-13
IEEE Trans. Magn. vol.37, No.4
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