研究概要 |
平成15年度は,多次元ディジタルフィルタの周波数特性の可変機能について考察し,多次元可変ディジタルフィルタの最適設計法とその周波数可変性能について理論的に考察することを目的とし,以下のように研究を行った. 1.これまでに知られている1次元の可変ディジタルフィルタ(周波数変換,実数・複素並列形全域通過構造,低次元分解構造)の設計法を整理・比較し,その多次元への拡張可能性を考察した. 2.上記の考察をもとに,円対称低域通過形の多次元可変ディジタルフィルタの設計手法を検討した.ここでは,多次元可変ディジタルフィルタとして,並列全域通過構造,伝達関数の周波数変換による構造,状態方程式上の周波数変換による構造によって,多次元可変ディジタルフィルタの可変特性を実現する手法を検討した. 3.上で得られた多次元可変ディジタルフィルタの周波数可変特性の能力を理論的およぴ計算機実験によって評価した.このとき,とくに多次元フィルタにおいて間題となる安定性および安定化可能性・安定係数領域について詳細に検討した. 4.上の2と3と同様の考察を円対称帯域通過特性およびファン通過特性への拡張可能性について検討した.円対称帯域通過形においては,中心周波数と阻止帯域幅の独立的な可変特性を実現し,ファン通過形においては,ファンの中心角と広がり幅の独立的可変特性を実現し,その可変性能を検討した.
|