研究概要 |
今年度の具体的な実績を以下にまとめて示す。 1.マルチファイバ型波長多重リングネットワークの構成法 大容量化の要求が高まっている大都市のバックボーンネットワーク(MAN)へマルチファイバ型波長多重ネットワークを適用する場合,ファイバ数が増加する問題がある。そこで,双方向伝送技術を用いた改良を試みた。検討の結果,以下の点を明らかにした。 (1)双方向伝送技術の適用により,従来構成と同等のファイバ数で実現できることを明らかにした。 (2)双方向の波長アッド・ドロップ回路の構成を考案した。また,波長割り当て時のブロッキング確率を計算し,従来方式より1桁以上の改善が可能なことを明らかにした。 (3)レーリー後方散乱によるパワーペナルティの計算より,同一波長を双方向伝送可能なことを明らかにした。 以上のそれぞれの結果について,3つの国際会議に論文を投稿した。また,1件の特許申請を準備中である。 2.マルチファイバ型波長多重ネットワークにおける波長割り当て方法 マルチファイバ型波長多重ネットワークでは波長割り当ての自由度が大きいため,波長間の干渉による非線形雑音を最小とする波長割り当てが存在する。一例として,分散シフトファイバにおける四光波混合雑音を最小とする波長割り当てを理論計算により求め,従来方式より雑音レベルが約10dB小さくなることを明らかにした。この結果については次項の論文に掲載された。また,シミュレータによる詳細な計算を実行中であり,来年度に4件の研究報告を予定している。 3.マルチファイバ型波長多重ネットワーク構成原理のアピールと国際共同研究の準備 ヨーロッパにおける光ネットワークの研究拠点の1つであるウィーン工科大学を,文部科学省の在外研究員(短期)として訪問して筆者らの研究成果をアピールした。また,将来の国際共同研究に向けて準備を進めることで合意した。
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