研究概要 |
1.マルチファイバ型波長多重リングネットワークの構成法 マルチファイバ型波長多重ネットワークは,構成が単純な波長のアッド回路を用いて大容量のネットワークを実現可能である。しかし,ファイバ数が増加する問題があるため,双方向伝送技術を適用してファイバ数を半減させる方式を検討してきた。今年度,新たに得られた研究成果を以下に示す。 (1)レーリー後方散乱によるパワーペナルティの計算方法に関して,振幅分布を用いて導出する従来方法に代えて,ガウス性雑音を仮定した近似計算方法を提案した。この結果,パワーペナルティの計算が高速かつ容易に実現可能となった。また,近似精度も問題ないことを両者の計算結果の比較から明らかにした。 (2)レーリー後方散乱雑音を抑圧するため,光エッジフィルタを挿入する方式を提案した。ただし,エッジフィルタの遮断特性が緩やかな場合はガードバンドが必要となり,波長効率が劣化する。この間題に対して,同一波長の割り当て位置にオフセットを与える方式を考案した。この結果,エッジフィルタの遮断特性に拘らず,100%の波長効率を実現した。 2.マルチファイバ型波長多重ネットワークにおける波長割り当て方法 前年度までに理論解析で明らかにした,波長間の干渉による非線形雑音を最小とする波長割り当て方法について,光ネットワークシミュレータを用いて実際のネットワーク環境での伝送特性を解析した。ノード数を4〜16,波長数を4〜32,伝送距離(DSFファイバ)を40km〜500kmの範囲でモデルを構築し,Q値による伝送特性の評価した。この結果,本研究で得られた最適な波長配置を採用した場合,最大で約2倍のQ値が得られることを明らかにした。
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