研究概要 |
ロスレスウェーブレット変換に基づいたロスレス/ロッシー統一符号化において,高ビットレートで圧縮効率が低いという問題を解決することを目的として研究を行った.従来,再生側でも逆ロスレス変換が用いられてきた.また最近,他の研究者により,1次元ロスレスウェーブレット変換からなる分離型2次元ロスレスウェーブレット変換よりも非分離型2次元ロスレスウェーブレット変換のロッシー圧縮効率が高いことが示された. 本研究では,帯域信号の平均値補正の後,逆変換をノンロスレス逆ウェーブレット変換で行う方式を提案し,非分離型2次元ロスレスウェーブレット変換と組み合わせ,大幅な圧縮効率の向上に成功した. 最初に,これまで不明であった非分離型2次元ロスレスウェーブレット変換の導出過程を明らかにした. 次に,順ロスレスウェーブレット変換-量子化-逆ロスレスウェーブレット変換システムを等価な順ウェーブレット変換-変換側ラウンディング誤差-量子化-逆変換側ラウンディング誤差-逆ウェーブレット変換システムに分解し,変換側ラウンディング誤差の平均値が画像によらず一定値になることに注目して,平均値補正の後,逆変換を逆ウェーブレット変換で行う方式を提案した. この提案方式と10分割非分離型2次元ロスレスウェーブレツト変換を組み合わせることにより,最大2.7dB, PSNRが向上した.また,4分割非分離型2次元ロスレスウェーブレット変換を繰り返し用いる10分割混合型2次元ロスレスウェーブレツト変換が全てのビットレートで比較的良い圧縮効率を有することを示した.
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