研究概要 |
ロスレス・ロッシー統一符号化システムは、高精細静止画像(例えば、医療画像、衛星画像、美術画像)を扱う分野において要求される。ロスレス変換はこのシステムにおいて中心的な役割を果たす。しかしながら、高精細静止画像にロスレス変換を適用するときに次の問題がある。ロスレス変換内で誤差が生じる(ラウンディング誤差)ために、ニアロスレスビットレートを除いた高ビットレートで圧縮効率が低くなる。そこで本研究では,圧縮効率が高いロスレス・ロッシー統一符号化システムを開発することを目的とする。 帯域信号の平均値補正の後,逆変換をロッシー逆ウェーブレット変換で行う方式を提案し,非分離型ロスレスウエーブレット変換と組み合わせ,ニアロスレスビットレートを除いた高ビットレートで大幅な圧縮効率の向上に成功した。画像を用いた実験において,あるビットレートでは,平均値補正の後,ロッシー逆ウェーブレット変換で再生する非分離型がロスレス逆ウェーブレット変換で再生する分離型よりもPSNRが2.7dB高くなること,分離型と非分離型の中間的性質を持つ混合型は全てのビットレートで比較的良い圧縮効率を有することが示された. さらに,再生側で逆ロッシー変換(ニアロスレスビットレートを除いたビットレート)と逆ロスレス変換(ロスレス/ニアロスレスビットレート)を切り替えるロスレス・ロッシー統一符号化システムを提案した。このシステムを用いることにより,全てのビットレートにおいてロッシー圧縮効率をより高くすることができることを示した。
|