Gbpsといった超高速ネットワークを占有して、大容量のデータ転送を行うことを想定した新たなTCP輻輳制御方式についての研究である。本年度は下記の研究を実施した。 1.超大容量データ転送アプリケーションのためのTCP輻輳制御アルゴリズムの設計 大容量データ転送を行う1つのTCPコネクションを複数のサブコネクションに分け、データの順序制御、受信確認、フロー制御はTCPコネクション全体で行い、再送制御、輻輳制御はサブコネクションごとに行う方式について、詳細な手順を設計した。その内容は以下のとおりである。 (1)サブコネクションを確立するために、追加的な確立・解放手順や、TCPヘッダのパラメータ追加は一切行わない。これにより、この手順はデータの送信側のみで実行され、データの受信側は通常のTCPと同様となる。言い換えれば、本手順を実装していないTCPノードとも通信が可能となる。 (2)サブコネクションごとの再送・輻輳擦制御は通常のTCPと同様に、タイムアウト再送とFast Retransmitを用いる。複数のサブコネクションで並行してFast Retransmitが可能となるように、TCPの選択的受信確認(SACK)オプションを用いて、等価的に重複ACKを計算する方式を考案した。 (3)この方式を実行するためのTCPの制御用変数を決定し、その変数を用いたアルゴリズムを設計した。 2.ネットワークシミュレータns-2を用いた輻輳制御シミュレーションプログラムの開発 上記のアルゴリズムを含むTCPについて、カリフォルニア大学バークレー校で開発されたネットワークシミュレータns-2を上で動作するプログラムの開発を進めた。現在ほぼ開発を完了し、デバックを進めながら評価を進めている。
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