研究概要 |
衛星搭載中継機能の周波数サンプル化処理技術の研究を行い超多ビームDSP衛星システムを実現することを目的としている.(1)数10MHzの帯域をFFTによって一括して周波数サンプル化し,周波数領域サンプルによってチャネル選択を行う方法について検討した.時間領域でコサインロールオフ窓を乗算することによってすべてのチャネルの選択特性を改善する方法を考案した.また,必要なFFT点数を明らかにし,種々のパラメータについてQPSK波の伝送特性によって評価した.チャネル選択特性の改善により隣接チャネル干渉が軽減され,BER特性が改善されることをシミュレーションによって示した.(2)周波数サンプルから直接復調信号を得る周波数領域復調技術を研究し,BPSK, QPSKについてその方法を考案した.考案した方法は電子情報通信学会に論文として発表した.周波数サンプルから直接復調することにより衛星オンボードでルータが構成可能になり,多ビーム大容量インターネット衛星も可能になる.(3)CDMAの周波数サンプルからの逆拡散について研究を行った.受信搬送波を近似的に生成することにより搬送波を有するCDMA波について周波数領域での高速相関処理による相関検出の方法を考案しシミュレーションによって動作を確認した.これによってCDMAシステムのマルチビーム衛星化が可能になった.(4)広帯域FFTを利用したAM放送帯域のソフトウエア受信について必要なサンプル数など具体的な手法を検討した.(5)TI社のDSKに対応した高速AD/DAドータボードを当研究室の設計により地元企業が試作し,安定な動作を保証することができた.今後,地元企業によるDSP関連サポートボードの市販化,技術レベル向上にも協力する.
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