研究概要 |
昨年度、明らかにした基本的な方式仕様に基づくソフトウェアエンコーダをPC上に実装し、低遅延で動作させる場合の符号化性能を評価した。 1.方式仕様の制定(主幹:近藤)I,P,Bの符号発生量比率に基づく、MPEG-2 TM5ベースの符号量割り当て法を確立し、イントラスライス部分の2パス符号化を利用するレート制御法、シーンチェンジ部近傍のイントラスライス破棄とコーディング順組み換えによるシーンチェンジショック緩和法などの仕様を明らかにした。 2.エンコーダコアの実装(主幹:大野)従前から使用してきた原理確認用プログラムに、1.で定めた仕様の方式の実装とともに、VBVの容量を遅延換算で50ms程度までに抑えてもアンダーフローが起こらないようレート制御に改良を加えた。 3.エンコーダ周辺機能の実装と符号化性能評価(主幹:佐々木)オープンソースのMJPEG Toolsに本低遅延符号化方式の中核部を実装し、最新のクワッドコアCPUを用いれば、実時間の主観評価に耐える速度性能が達成されることを確認した。また、低遅延時の画質評価を行い、ピクチャ並べ替え遅延とvbv遅延を合わせた符号化遅延を150ms程度とする条件で、画質劣化の目立ちやすい緻密で動きの少ない画像シーケンスを符号化する場合には、従来のイントラスライスに比べても最大で1dB以上高いPSNRの得られることを確認した。
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