研究概要 |
本研究は、空間光通信を用いた複数の移動ロボットの協調に関する研究である。本研究では、空間光通信の光信号を移動ロボットの相互通信だけでなく、相互の位置を示すビーコンとして利用し、相互位置情報に基づく混信除去に活用する方式を研究した。 非集中制御方式を採る無線通信ネットワークでは、「隠れ端末問題」や「さらし端末問題」と呼ばれる混信がネットワーク構築の妨げとなっている。本研究では、ロボットの移動による通信途絶解消を目的に、光入射角センサを用いて通信相手の方向(位置)を常に追跡している。通信相手の位置情報を基にした混信除去アルゴリズムを検討した。混信は、1)空間的な要因、2)時間的な要因の2つが重なった時に発生する。それぞれの発生要因に注目して、混信除去を検討した。 空間的な要因を整理すると、受信ロボット1台、送信ロボット2台の計3台で三角形を構成することが明らかとなった。これに基づき、三角形の性質を利用し、受光範囲を60°以下に制限した受講アンテナを円状に並べることで,「隠れ端末問題」が解消できることを明らかにした。また、「さらし端末問題」について、先の3台のロボットで、混信を生じない内角が最も大きいロボットが調停者「アービタ(Arbiter)」となり、相互の調停を図ることで解消できることを明らかにした。
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