研究概要 |
現在最もよく使われているポリゴン即ち単体モデルは単に点データを記録しているため、莫大なデータ量と処理量を必要とする。これまで提案された多くの手法は、単体モデルより能率よく3次元自由曲面形状を表現するために,物体表面から曲率や捩率あるいは多項式パッチなどの局所的または半局所的な不変特徴量を抽出することを基本としている.これらの局所的な表現は,一般的な自由曲面を表すためには依然と多大なデータと処理量を必要とする.一方,形状を有限個のパラメータで表現できる大域的な物体モデルが望まれているが、一般的な自由曲面に対しては、このような大域モデルは現在知られておらず、一般的に存在しないであろうと考えられている.その代わりに,現在は一般化円筒或は超二次曲面やB-スプラインのようなモデルがよく使われている。しかし形状の不変特徴量は一般に存在せず,また仮に存在しても物体形状を一意に復元するための不変量の完全集合を見つけることが困難である. そこで、このような局所モデルと大域モデルの問題点を解決すべく,本研究では、形状の接線若しくは法線ベクトル場のLie代数を用いて、物体の局所特徴と大域形状を融合できる3次元物体の表現方式を開発している。 このモデルを以降3D物体のLie代数モデルと称する。具体的に、物体をLie群という滑らかな多様体と見なすことで、、大域的な形状はexplicitに記述できないが、これを局所ベクトル場のLie代数のパラメータによって一意に定めることができる。しかも、物体の不変量の完全集合は、Lie代数から簡単に求めることができ、それを用いることで、少ないパラメータで物体を記述、認識そして合成復元することができる。また、従来の方式に比べてより豊かな表現能力が期待できる。本研究では、線形Lie代数モデルによる物体の不変量の抽出と領域分割そして、認識合成方式も開発している。 さらに、任意母線と線形Lie代数の1-parameter群の局所直積となるファイバー束曲面モデルも開発している。このモデルは、厳密にいうと線形Lie代数の1-parameter群をファイバーとするファイバー束であり、極めて豊かな表現力が期待できると同時に、合成する際の数値積分は一切要せずに、高速且つ高密度な形状モデルとして実用性が高い。ファイバーとなる線形Lie代数の不変量により一意の物体を特徴づけることができ、認識合成符号化に適している。
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